sc-003 2つの光の家 /真田操
チベットからネパールへ 真田操の "ライブパック"
山形国際ドキュメンタリー映画祭2003 アジア千波万波プログラム 正式招待作品
初めて訪れたチベットの地で青年と出会い行動を共にする。そして後半では、ネパールでの活動の拠点 "3rd HOUSE" にて友人と再会する。作者の小さなビデオカメラが、風景や人々とセッションする。その時空は、透明感にあふれた穏やかさに包まれている。北京から中央アジアを彷徨う期間に撮影した素材を、コンピュータを用いた自動編集によってコンポジションされた "Death Fugue" を併録。
ISBN4-86219-006-5 C0870 3800円(本体価格)+ 税
帯文より
作為や仕掛けに長けた作り手も嫉妬する、
透明な光と風に包まれた旅。
童心の笑い声が、魂の純白に届く。
藤岡朝子(山形国際ドキュメンタリー映画祭)
真田操 SANADA Misao
1972年生まれ。90年代はインターフェイス・デザインの領域で活動。
1995年、処女作「駅」(1993)がオーバーハウゼン国際短編映画祭に選出される。
手描きアニメーションと自身のモノローグを合成した「宇宙の人」(2001)を経て、その後は、導かれるように海外へ活動のフィールドを拡げていく。
2001年からのネパール、チベット、インド、中国に広がるヒマラヤ山脈周辺地域での3rdプロジェクトは、重要なフィールドワークとして、2015年現在のアメリカ・ロサンゼルスで
行っている「Design of the Death」へと繋がってゆく。
近年、真田さんは自身の作品を "ライブパック" と説明しています。それは初めて訪れる場との接触感や、カメラを通して人とコミュニケーションすることに重きをおき、あらかじめ作品テーマやメッセージは準備しないですすめるものです。換言すれば制作プロセスにおいて有機的に生成されるのが自然なことと感じているということでもあります。同時に編集過程においても、偶然に撮れてしまったものを積極的に取り込んでいます。その意味では従来のドキュメンタリー映画とは異なり、むしろインプロヴィゼーション表現に近い手触りがあります。彼女の作品は、「人間の眼は、理解できるものしか見ることができないわけではなく、理解できないものも見つめることができる」ことに気づかせてくれます。これはまさにカメラの特性のことでもあります。
本作は、チベットやネパールで出会った人々の、戸惑いながらもカメラを見つめ返す強いまなざしが印象深く、全体を通して不思議な穏やかさに包まれている作品です。
/SOL CHORD